不動産市場では「活用困難」とされた、1.7mの高低差がある三角の旗竿地。さらに壁面後退1m制限という厳しい法規制が、設計の自由度を奪っていました。
解説: 通常の設計では「死にスペース」になるはずの隣地境界からの1m。この無駄になりがちな余白を、エントランスや遊び場、バスコート下収納として再定義。敷地内に「使えない場所」を1㎡も残さない精査を行いました。
構造の裏付け: 在来木造でありながら構造計算を実施し、耐震等級3を確保。外壁全面にダイライト12mmを施工し、変形地に建つ住まいの剛性を最大化しました。
素材の精査: 床にはスギ無垢板、壁には高千穂シラス(薩摩中霧島壁)を採用。100%自然素材の調湿機能により、薪ストーブの暖気が家全体を健やかに包み込みます。
水回りの集約: トイレ・洗面・脱衣を分離しつつ、単価の高い水回り個数を最小限に抑制。機能を共有させることでコストを削減し、その分を薪ストーブや自然素材へ投資しました。
照明の再発明: 既製品の照明を最小限にし、1個300円の中古碍子(がいし)とLEDを組み合わせたオリジナル照明を計画。古いものの価値を再発見する、TADAIMAらしいコスト戦略です。
動線の精査: 無駄な廊下やホールを排除し、玄関からリビングへ繋がる開放的な空間を構築。視線の抜けを計算し、プライバシーを守りつつ面積以上の広さを感じさせます。
熱の設計: 階段ホールの図書コーナー兼物干し場は、薪ストーブの熱が最も集まる場所。ここを起点に暖気が循環し、2階の大型ウォークインクローゼットまで家全体を一定の温度に保ちます。
所在地: 名古屋市緑区
建物:在来木造2階建て
面積: 敷地 163.28㎡ / 延床 113.04㎡(34.19坪)
主要工事: 構造計算(耐震等級3)/ 屋根・外装ガルバリウム鋼板 / 床スギ無垢板 / 壁高千穂シラス壁 / 薪ストーブ(morso 1630CB)/ トーヨーキッチン BAY
「厳しい土地条件や予算の制約は、決してマイナスではありません。図面を読み解き、知恵を絞れば、それはその家だけの個性(資産価値)に変わります。土地探しからのご相談も、TADAIMAの『精査』にお任せください。」
Arch: Hida / Design: Saito